代官山 蔦屋書店コンシェルジュ通信Vol.5

異形の芽生え 『奇病庭園』と川野芽生特集 2月5日号
代官山 蔦屋書店人文 2024.02.05
誰でも

代官山 蔦屋書店コンシェルジュが週に1回、ポッドキャストやTwitter(X)で取り上げた本のこと、間室道子の本棚、イベントのお知らせや報告など、お届けするニュースレターです。どうぞお気軽にご登録ください。

今週は、東京でも雪が降る寒いスタートとなりました。風邪なども流行っていますので、どうぞ皆様もお体を大切にあたたかくしてお過ごしください。

今週の特集は、コンシェルジュ岡田による、こちらの企画。小部屋に現れたこの素敵な空間についてご案内します。

展示「異形の芽生え 『奇病庭園』と川野芽生」特集

2月1日(木)〜2月29日(木)

1号館1F 自然と歴史の小部屋

1号館1F 自然と歴史の小部屋

川野芽生さんは短歌、小説、エッセイなど領域を横断して活躍し、『Blue』が第170回 芥川賞候補作に選出されるなど今注目を集めている作家です。本展示は『奇病庭園』を中心にその活動の全体像を表現する試みです。

川野さん自身による著作のご紹介に加えて、『奇病庭園』の装画を担当した画家・菅野まり子さんの同書をモチーフにした新作絵画を展示販売します。また宮下さゆりさんとのコラボレーション作品「歌と絵の往復書簡」を展示します。 

当初は、小説『奇病庭園』の刊行記念として本を並べるフェアのつもりだったのですが、歌人でも小説家でもあり、ファッションに関するエッセイも発表し、東京大学大学院に在籍する文学研究者でもある川野さんの全貌が伝わるような展示にしたいという思いが強まり、自然と歴史の小部屋でのダイナミックな展示に発展しました。 

『奇病庭園』をモチーフにした菅野まり子さんの作品群は、挿絵のような作中風景の描写ではなく、その世界の雰囲気や時空感覚のようなものを、独自の感性とスタイルで描き出しており、眺めるたびに発見が生まれます。

川野さんと宮下さゆりさんの「歌と絵の往復書簡」は、歌に絵が触発され、その絵に触発されて新たな歌が生まれる、というプロセスで進んでいきます。お二人の遊び心のある掛け合いによって、情景が変化していく様は、ぜひ会場でお楽しみください。

さらに川野さん自身によって、ご自身の創作の中心となる三つのテーマについて綴っていただくコーナーもございます。ここではない世界、幻獣や異形など、幻想的なイメージを展開する川野さんが、それらの表現を通して現実の社会に対してどんな働きかけをしようとしているのか。その中心にある問題意識を知ることができる、とても読み応えのある展示です。

今回の展示のためにオリジナル冊子を作成しました。歌人としての川野さんによる『奇病庭園』をモチーフにした新作短歌や、親交の深い詩人・高田怜央さんによる同作の英訳も収録した、とても豪華な内容になっています。

【関連イベント】『Blue』(集英社)刊行記念トークイベント 川野芽生×岩川ありさ「トランス差別に抗うために、文学ができること」 

2月15日(木)19時〜 

3号館2F SHARE LOUNGE/Zoomウェビナー 

トークのお相手にお迎えするのは、著書『物語とトラウマ―クィア・フェミニズム批評の可能性』が大きな話題となった、文学研究者の岩川ありささん。 社会の動きを注視し、物語を豊かに読みとき、言葉を紡ぎつづけるお二人による貴重なトークです。

ここまでの文は、コンシェルジュ:岡田基生(おかだ・もとき)

ポッドキャスト「代官山ブックトラック」更新情報

今週のポッドキャストはコンシェルジュ岡田基生による、三木清『哲学ノート』のお話。

たった25分で本書の魅力が伝わる学び多きさすが!の回です。

これまでの社会の仕組みが立ち行かなくなっている今、新たな社会のヴィジョンが求められています。1930年代、危機の時代に理論と実践を往復しながら哲学を探究した三木清から継承できることは?

文学コンシェルジュ「間室道子の本棚」更新情報

今週の「間室道子の本棚」は、こちら。

お店でも気になっていた一冊ですが、スピード感のある書評です。絶対読みたくなります!

【第258回】間室道子の本棚 『照子と瑠衣』井上荒野/祥伝社

最近Xで紹介した本:鷲田清一『所有論』(講談社)

鷲田先生による『所有論』(講談社)入荷してすぐ買いました。毎日持ち歩いていますが、読み終わるのはだいぶ先になりそうです。こちらのかっこい装丁は、水戸部功さんによるもの。美しい!

宮台 由美子
@yumikomiyadai
【新刊入荷】
鷲田清一『所有論』(講談社)

本書は、井上陽水の代表曲「最後のニュース」のロバート・キャンベルによる英訳の際のエピソードから始まります。
「ただあなたに」ではなく、
「ただ あなたに」とは。

「わたしのもの」とはなんだろうか?

美しい見事な装丁、
期待で胸高まる一冊が入荷
2024/02/02 12:44
20Retweet 76Likes

今週のイベント情報

今週はこちらの3本のイベントが開催予定です。

2月6日(火)19時【イベント&オンライン配信(Zoom)】『どうしても動き出せない日の モチベーションの見つけ方』(大和書房)刊行記念 角田陽一郎×松下りせトークイベント「自分を魅せるモチベーションの見つけ方」

2月7日(水)19時【イベント&オンライン配信(Zoom)】『ぼくたちは、なぜこれを選ぶのか』出版記念 ミニマリストしぶトークイベント

ミニマリストしぶさん監修のフェアも、レジ前で始まりました。

【フェア】less is_jp POP UP STORE 2月5日~18日(日)

個人的にフェアを眺めて「なんだこれは!すごい!」と思ったのが「バッグレスシャツ」。見た目は黒のシンプルでかっこいいシャツなのですが、その中見は超機能的なシャツだそうで下記のようなスペックが搭載しているとか。お近くにいらしたら、ぜひ見てください。

■背中に14インチ相当のPC収納。二重になった身ごろには計10個の多機能ポケット

■使わない時も小さく畳めるパッカブル仕様

■荷物を入れても着膨れが目立ちにくい、ゆったりシルエット

■幅広いサイズ設定とシンプルでミニマルなデザイン

■大切な物を収納する為、ポケットにファスナーを追加しました

公式HP:https://cores-ec.site/less_is/より引用いたしました。

2月8日(木)19時【イベント&オンライン配信(Zoom)】『野生のしっそう』(ミシマ社)・『日本人が移民だったころ』(河出書房新社)W刊行記念 猪瀬浩平×寺尾紗穂 「私と他者のあいだに、〈新しい線〉を引く」

私と社会、私と他人、私と過去、都市と野生…さまざまな関係性の中に埋没する「つながり」を見つけることは、どういう意味があるのか? つながりを見つけた上で、社会、他人、国家といった他者との線をどう引き直すか? 音楽家と人類学者、立場は違えど、異なるアプローチで「世間の線引き」を変えようとしつづける2人が、この日、新たな線を引く、必聴の90分です。

アーカイブ配信はありません。ご都合の合う皆様、ぜひ一緒に聞いてみませんか。

2月中旬~3月開催予定イベント、現在ご参加受付中!

2月13日(火)19時【イベント&オンライン配信(Zoom)】『NHK100分de名著 ローティ「偶然性・アイロニー・連帯」』『学びのきほん 哲学のはじまり』(NHK出版)W刊行記念 朱 喜哲×戸谷洋志「哲学のはじまり、いま、これから」

今月の「NHK 100分de名著」は、朱 喜哲さんがナビゲートする2月5日(月)午後10時25分~50分が初回放送のローティ「偶然性・アイロニー・連帯」です。こちらのテキストもイベント対象書籍の一つですので、テレビを見てご興味を持った方、ぜひご参加ください!

2月16日(金)19時【イベント&オンライン配信(Zoom)】代官山文学ナイト:「クラフト・エヴィング・ラジオ」第20夜 『羽あるもの』(吉田篤弘 平凡社)刊行記念

2月21日(水)19時【イベント】北田博充『本屋のミライとカタチ -新たな読者を創るために-』 刊行記念トークイベント

こちらのイベントは、小説紹介クリエイター・けんごさん、粕川 ゆきさん(いか文庫)、花田 菜々子さん(蟹ブックス)がゲストでいらっしゃいます。

ちなみに花田さんは今週号のAERA 2024年2月12日増大号の「現代の肖像」にも掲載されています。こちらも要チェックです。

そして来週のニュースレターでは、梅田 蔦屋書店の店長であり、本書の著者である北田博充さんにインタビューをしています。お楽しみに。

3月14日(木)19時【イベント&オンライン配信(Zoom)】『ラブレターの書き方』(晶文社)刊行記念 布施琳太郎×伊藤亜紗「言葉のなかの体と、体の外の言葉——ソーシャルメディアから離れて書くこと」

布施琳太郎さん、伊藤亜紗さんのイベントの受付が始まりました!

先日上野に用事があって国立西洋美術館の前を通ったら、イベントにご登壇される布施琳太郎さんのお名前を大きな告知ポスターを発見しました。

2024年3月12日(火)~5月12日(日)に予定されている下記の企画に参加されるとのこと。早速気になって調べてみたところHPの紹介文によれば、

「国立西洋美術館においてはじめて「現代美術」を大々的に展示する機会となります。こんにちの日本で実験的な制作活動をしている、さまざまな世代の20を超えるアーティストたちの作品が集います。」

参加される作家お名前を眺めているだけでも期待大の展示です。イベントの前後にぜひ行ってみたいですね。

「代官山 蔦屋書店コンシェルジュ通信」今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。人文コンシェルジュの宮台由美子が担当しました。ニュースレターの感想や共有SNSでの紹介など大歓迎です。#代官山コンシェルジュ通信でお願いします。

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