代官山 蔦屋書店コンシェルジュ通信 Vol.4
ディープなサブカル棚をつくるコンシェルジュの横顔にせまる回
代官山 蔦屋書店コンシェルジュが、週に1回、ポッドキャストやTwitter(X)で取り上げた本のこと、間室道子の本棚、イベントのお知らせや報告など、お届けするニュースレターです。どうぞお気軽にご登録ください。
みなさまこんにちは。今週は代官山 蔦屋書店1号館人文・ビジネスフロアで異彩を放つディープな棚&フェアを担当しているコンシェルジュ野村千絵さんの1月の活躍ぶりをご紹介します。
文芸棚のかたすみで異彩を放つディープな棚、サブカル棚
人文、ビジネスフロアの片隅に通称「サブカル棚」と言われる棚があるのをご存知でしょうか。下の写真は2列あるうちに一部。(全容はぜひお店でご覧ください)コミックからアンダーグラウンドもの、怪談など、異彩を放っています。個人的にも大好きな棚。
担当のコンシェルジュ野村さんに棚やフェアについてなど、お話を聞いてみました。
代官山 蔦屋書店 1号館人文フロア写真より
サブカルコンシェルジュ野村さんに聞く
宮台:野村さん、今月めちゃくちゃ働いていましたねえ。まず一つ目は正月明けすぐの川尻こだまさんの初売り。新春に楽しめる描き下ろしおみくじや各種グッズ、サイン本を求めるお客様で開店前から長蛇の列ができて、大変でしたけど楽しかったですよね。
野村:妖怪界のデンジャラスライフハッカーという、独特のゆるキャラで大人気の川尻こだまさん。今回は新刊発売と新春を兼ねたフェアで、100枚ほどおみくじを用意してくださったんですが、なんと全部描き下ろし! おみくじとサイン本お目当てのお客様で、早朝からてんやわんやでしたが、ほんと新春大売り出しって感じで楽しかったです! おみくじは凶が多かったようで、それも醍醐味のひとつでした。
フェアでは原画や彫刻作品もご覧いただけますし、POPもすべて手描きという豪華さ。グッズには「代官山」と大きく描かれたインパクト大のレアなTシャツもあって、こちらはオンラインショップでも購入できます。
【フェア】新春!川尻こだま『あたしゃ川尻こだまだよ』(KADOKAWA)3巻刊行記念フェア現在レジ前にて開催中です。
2月4日まで好評開催中!POPも川尻先生の手書きなのが熱い!
宮台:更にその隣では、中国雑貨フェアも歓迎光臨かわいい中国雑貨/birkahve POP UP STORE開催しています。これも野村さん担当なんですよね。中国雑貨かわいい食器やお箸など気になるものがたくさんありますが、何かおすすめの品はありますか?
野村:中国の日めくりカレンダーがイチオシです。挿絵があったり、干支ごとの運勢が書いてあったりと1年間楽しめること間違いなし。実際、スタッフ同士でもその日の運勢を見比べて、かなり盛り上がりました。また中華圏で縁起物のシンボルマークになっている、双喜紋(ダブルハピネス)が入った雑貨もオススメ。文字通り、喜びが2倍になりそうな気がビシビシします!
歓迎光臨かわいい中国雑貨/birkahve POP UP STORE
中国茶器セットやアクセサリーも
野村さんおすすめの日めくりカレンダー
そして、更にその隣でやっているのが、
【フェア】ぬこー様ちゃん厄払いフェア 2024年を強気で生きて厄をぶっとばしたい人にむけてグッズをだすフェア
代官山 蔦屋書店ぬこー様ちゃん厄払いフェアより
宮台:たまたま重なってしまったとはいえ、超人的なフェアの量でしたね。ぬこー様ちゃんフェアは、サイン会&トークイベントも先週開催されていましたよね。
野村:本当に、今回はたまたまとはいえ、3つのフェアが勢揃いして怒涛の幕開けでした。
ぬこー様ちゃんフェアは、当敷地内にあるGARDEN GALLERYへ1日だけ引っ越してPOP UP、サイン会、トークイベントを行いました。こういう試みははじめてだったんですが、たくさんのお客様に来ていただき、ぬこー様ちゃんさんとゲストのさいとうなおきさんのタメになるトークを聞くことができ、とても楽しかったです。特にお金の話がピカイチでした。
宮台:お金の話!気になる。あとでこっそり聞かせてください。
野村さんの「サブカル」とは
宮台:ここまで「サブカル」って何気なく使ってきましたが「サブカル」の定義って難しいですよね。今は様々なカルチャーがあって、何でも入れるとめちゃくちゃになってしまいそうなのに、カオスにならず棚はなぜかしっくりまとまっています。この作家さんを入れる、とかこの作品を入れるって、どうやって見極めているんですか?
野村:自分が担当しているサブカル棚のコンセプトは「好きをとことん突き詰めた、荒くれ本たちのオアシス」なんです。なんのジャンルにも当てはまらなくても、どこの棚にも受け入れてもらえなくても、好きを突き詰めていれば、それ自体がひとつの形、世界になる。そんな猛烈な愛が詰まっているからこそ、それぞれが確立していて、意外としっくりまとるんでしょうね。あとは根も葉もないようなことですが、自分が惹かれるかどうかと、面白そうっていう直感も大きいです。
そんなサブカル棚が派生したサブカル市というイベントが、昨年に引き続き3月23・24日(土・日)に開催されます。サブカルにちなんだトークイベント、漫画家さんのサイン会や似顔絵ワークショップ、全国屈指の個性派書店・出版社・雑貨屋による出店ブース、そしてDJブースに加えビールやフードもあるので、まるでフェスのような代官山 蔦屋書店で一番カオスなイベントです。是非、荒くれ本のオアシスに遊びに来てください!
宮台:荒くれ本のオアシスだったですね。最高ですね。どうりで、棚の前にいると野村さんの荒くれ本たちへの愛が伝わってきて、わくわくするのだと思いました。
昨年のサブカル市もたくさんご来場いただき、楽しいイベントでした。準備など大変だと思いますが、楽しみにしています。大活躍の今月、本当にお疲れ様でした!
【プロフィール】コンシェルジュ:野村千絵(のむら・ちえ)
2月28日生まれ、横浜育ち。劇団唐組、ドイツ留学を経て、演劇業のほか、ライターとしても活動。代官山 蔦屋書店のオープニングスタッフ。父譲りのサブカル好きを活かして、当店にサブカルの棚を設立。2023年2月には「サブカル市」を企画・担当。今は無き中銀カプセルタワービルにかつて7ヶ月間住んでいた。水曜日だけスナックのママ。@chievampire
コンシェルジュ:野村千絵(のむら・ちえ)
ポッドキャスト「代官山ブックトラック」更新情報
今週は、ここ数年よく聞く「ネガティブ・ケイパビリティ」についての2冊を宮台が紹介しています。知っているようで、ちゃんと知っておきたいこの言葉を改めて考えつつ、どうやって育むものなのか?考えています。
岡田さん「批評の座標」アップされました。
【批評の座標 第19回】「戦場」から「遊び場」へ――西田幾多郎と三木清の関係性を手がかりに「批評」の論争的性格を問い直す(岡田基生)
独自の哲学体系を創出し「京都学派」と呼ばれる思想の系譜を生み出した西田幾多郎と、西田の『善の研究』に影響を受けながらも時事的な評論及び実践へと次第に開かれていった三木清。二人の関係性から、哲学と批評の緊張関係や「遊び」としての批評のあり方を論じます。
学問や批評の場で「戦い」を何か本質的なもの、当然のもの、強さの証明のように信じて動いてしまうと、人格攻撃、派閥争い、嘲笑、冷笑、絶交など分断が生じていきます。思想を異にしながら、互いにポジティブな影響を与え合う関係になるには? 京都学派の西田幾多郎と三木清の関係性をヒントに論じました。(岡田基生)
今週のイベントはこちら
1月31日(水)19時【イベント&オンライン配信(Zoom)】『「誰でもよいあなた」へ――投壜通信』(講談社)、『現代フランス哲学』(筑摩書房)刊行記念 伊藤潤一郎×渡名喜庸哲トークイベント「思想を語る言葉」
お二人に現代フランスの哲学・思想の観点から『「誰でもよいあなた」へ』をめぐり語り合っていただきます。会場参加も、オンラインもどちらも可能です。アーカイブ配信もあるので、ぜひお見逃しなく。
文学コンシェルジュ「間室道子の本棚」更新情報
今回は来月にイベントも控えている吉田篤弘さんの1冊です。
【第257回】間室道子の本棚 『なにごともなく、晴天。』吉田篤弘/中公文庫
2月16日に開催されるイベントはこちら。ちょうど本は先週入荷してきました!
2月16日(金)19時【イベント&オンライン配信(Zoom)】代官山文学ナイト:「クラフト・エヴィング・ラジオ」第20夜 『羽あるもの』(吉田篤弘 平凡社)刊行記念
2月開催人文フロア主催イベント
2月6日(火)19時【イベント&オンライン配信(Zoom)】『どうしても動き出せない日の モチベーションの見つけ方』(大和書房)刊行記念 角田陽一郎×松下りせトークイベント「自分を魅せるモチベーションの見つけ方」
2月7日(水)19時【イベント&オンライン配信(Zoom)】『ぼくたちは、なぜこれを選ぶのか』出版記念 ミニマリストしぶトークイベント
2月8日(木)19時【イベント&オンライン配信(Zoom)】『野生のしっそう』(ミシマ社)・『日本人が移民だったころ』(河出書房新社)W刊行記念 猪瀬浩平×寺尾紗穂 「私と他者のあいだに、〈新しい線〉を引く」
こちらはアーカイブ配信はありませんが、オンラインでの視聴も可能です。ライブのみ、ということでぜひご予定を調整して、会場に来ていただきたいイベント!
2月13日(火)19時【イベント&オンライン配信(Zoom)】『NHK100分de名著 ローティ「偶然性・アイロニー・連帯」』『学びのきほん 哲学のはじまり』(NHK出版)W刊行記念 朱 喜哲×戸谷洋志「哲学のはじまり、いま、これから」
先週2冊とも発売になりました。2月の100分de名著はローティ―です!ぜひご注目ください。
2月15日(木)19時【イベント&オンライン配信(Zoom)】『Blue』(集英社)刊行記念トークイベント 川野芽生×岩川ありさ「トランス差別に抗うために、文学ができること」
2月21日(水)18時【イベント】北田博充『本屋のミライとカタチ -新たな読者を創るために-』 刊行記念トークイベント
◎第1部(18:00~18:30)トークテーマ: 新たな読者を創るために
出演: 北田 博充(梅田 蔦屋書店 店長)岡田 基生(代官山 蔦屋書店 人文コンシェルジュ&人文・ビジネス リーダー)
◎第2部(18:40~19:40)トークテーマ: 本を読まない人に、本の面白さを伝えてきた3人の話
出演:粕川 ゆき(いか文庫)、けんご(小説紹介クリエイター)、花田 菜々子(蟹ブックス)※聞き手: 北田 博充
「代官山 蔦屋書店コンシェルジュ通信」今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。人文コンシェルジュの宮台由美子が担当しました。ニュースレターの感想や共有SNSでの紹介など大歓迎です。#代官山コンシェルジュ通信でお願いします。
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